X-T3を動画機として使う

フリーランスの朝はフィルムシミュレーションから始まる。

はじめに

僕がX-T3を動画機として使って1年が過ぎました。
富士フィルムは1つ前のX-T2から急に動画機能に力を入れたなと思ってましたが、X-T3の登場、そして幾多のアップデートによって他メーカーに一気に追いつき、追い越してる部分も見受けられるまでになりました。

前述したように動画機としての歴史はX-T2(2016)から始まったと言っても過言ではないので、未だ多くの方がフジで良い映像を撮れることを認知していない状況です。
噂によるとX-T4の発表も秒読みになってますので、ここいらでX-T3を動画機として見た場合の有用性を紹介・布教していきたいと思います。

良い部分

・4K 60Pが可能
あまりスペックだけで語りたくはないのですが… 現行では達成している機種も少なく、それだけで購入の決め手になる方もいるかと思います。

また、4K 30P時は他カメラにありがちなクロップがありません。


・カメラ内でのh.265(10bit)収録が可能
これもいずれは標準になってくるとは思いますが、現時点では採用が珍しく、重宝します。
特に4K撮影時においてh.264と比較した場合、同一ビットレートでは明らかに差が出ることがわかっています。
残念ながらHDでは優位性は感じられませんでした、素直にビットレートあげましょう。


・カメラ内での高ビットレート収録が可能
コーデックやフォーマットに左右されますが、400Mbpsまで可能です。
ちなみに最低ビットレートは50Mbps、他メーカーの最低に比べるとやや重いです。


・F-log
上記の優秀なコーデックとビットレートも相まってlog撮影との相性は良いと感じます。下限ISOは640。
ただ次の特徴と完全にトレードオフになってしまうので、フジを動画で使う上で究極の選択とも言えます…。


・フィルムシミュレーション
あえて特筆するほど珍しいものではないのは分かるのですが、フジを選ぶ上では外せない項目になってくるかと思います。
特にPRO Neg. STD、ETERNAの雰囲気の良さは「もうlogでなくてもいいんじゃない?」と思わせてくれるきっかけになりました。

パラメーターの調整もハイライトシャドウとは別にダイナミックレンジの項目があり(こちらは最低ISOが上がっていく)、撮って出しを必要とする場面ではだいたい最大まで上げて使っています。

富士フィルムの公式youtubeにはショートムービーがたくさんアップロードされているのですが、その映像もエテルナで撮ったものが何個かあるような気がします。
www.youtube.com


・ゼブラ、ピーキング有
これはもう全メーカー搭載して欲しいのですが…、あるのは素直にありがたいです。ゼブラの%、ピーキングの強度・色は変更可能です。


・Type-Cで撮影中の給電、ジンバルからの操作が可能
これは前回の記事で細かく書きましたが便利です。給電もできます。
eterna.hatenablog.com

これは欲しかった…!部分

・手振れボディ補正
まあ…って感じですが、ないものはないですね。
レンズ側の補正でカバーしたいところですが、最近出た16-80mm以外は動画用途としては微妙な挙動が多いです。そもそも搭載レンズが少ない。

X-H1のボディ補正はかなり優秀だと感じたので、こればかりは次作に期待したいです。


・動画撮影の支援機能
前述したようにピーキングやゼブラといった機能はあるだけ十分ではあるのですが、というかそれ以上のものを静止画用から始まったミドルレンジのカメラが搭載しているのもおかしいのですが…。
ここまで飛躍的に動画性能を上げてきたメーカーなので、どうしても次作に期待が高まってしまいます。

具体的には、アスペクト比の枠線、撮影中のヒストグラム表示、log時における画面内LUT表示、でしょうか。
いずれもS1HやBMPCC4K等には搭載されている機能です。

課題と今後

ほぼ手放しで褒めちぎっていますが、僕個人が考える一つだけ大きな問題、それが純正レンズのマニュアルフォーカス精度です。

具体的な内容は長くなるので別の記事で書きますが、それなりにカメラを動画で使ってる人が店頭で初めてフジを触っただけでも「うーん」と感じてしまう箇所です。
僕はそれらを対策した上で一年使ってきたので、今後もX-T3はガンガン動画機として使っていきますし、X-T4への期待は高まるばかりです。


X-T3は撮って出しの画の良さもありつつ、後編集にも耐えられる形式も選択できる、かなり対応力の高いカメラだと思っています。



2019 みたらし祭

これだけX-T3を推しといてアレなんですが、X-H1+ETERNAの作例です。
や、やっぱり手振れ補正が…。